2009年11月16日

技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか

良書。読みやすく、分かりやすい。そして、考えさせられる。



変革の時代

人々のライフスタイルが変わりつつある。今までとは違う未来が現れようとしている。

その中心となっているのは、Googleであり、Appleであり、IBMやMicrosoftだ。変革を起こす世界的なプレイヤーの中に、残念ながら日本企業の姿はない。

なぜか。

なぜ、技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか。

こう言い換えてもいい。なぜ、日本企業は、世界を変革するようなイノベーションを起こせないのか。

新たなるイノベーションモデル

イノベーションのモデルそのものが変わってしまった。日本企業がイノベーションを起こせない原因がそこにある。

p108
従来の「インベンション(発明)=イノベーション(新価値の創出)」というモデルは既に過去のものになり、「イノベーション=発明 × 普及定着」となったのです。これは「イノベーションモデル自体がイノベートされた」ということを意味します。別の角度から見れば、「技術力が必要十分条件の時代」が去って、「技術力は必要条件であるが、他に十分条件となるものが現れた時代」に入ったということです。

新たなるイノベーションモデルには技術力ではない何か他の十分条件があり、日本企業にはそれがないということだ。

現在のイノベーションモデルについて、筆者は、

p131
ビジネスモデルと知財マネジメントの展開による国際斜形分業型イノベーション

と説明する。

水平分業ではなく斜形分業と呼んでいることに注意していただきたい。現在のイノベーションモデルでは、多数の企業が平等に分業しているわけではなく、主導権を握っている企業が存在するからだ。そして、その主導権を握っている企業こそが、イノベーションを主導し、最も利益を得ている企業なのである。ビジネスモデルと知財マネジメントの展開によって。

そう、現在のイノベーションモデルの「十分条件」とは、ビジネスモデルと知財マネジメントである。

イノベーションのイニシアチブ

イノベーションの主導権(イニシアチブ)をとるためにどのように動くべきなのか。
筆者が繰り返し説明するのが以下のモデルだ。

「三位一体モデル」
研究開発:製品特性(アーキテクチャー)に沿った急所技術の開発
事業戦略:「市場の拡大」と「収益確保」を同時達成するビジネスモデルの構築
知財戦略:独自技術の権利化と秘匿化、公開と条件付きライセンス、標準化オープンなどを使い分ける知財マネジメントの展開

上から、技術力、ビジネスモデル、知財マネジメントである。

日本企業には、技術力はあるが、他の二つがない。ビジネスモデルを考えだせる人材、知財をマネジメントできる人材がいない。だからイノベーションのイニシアチブをとれていない。

さらにその先へ

肝に銘じておかなければならないのは、新たなるイノベーションモデルの登場は、アメリカが自ら意図的に主導したものである、ということだ。

日本が現在のイノベーションモデルの仕組みを理解した頃には、アメリカかあるいは他の誰かがさらにイノベーションをイノベートさせているのではなかろうか。

真の意味で「勝つ」ためには、イノベーションモデル、つまり、価値を創造するモデル自体をコントロールしなければならないのだ。

「ゲームのルールを変えた者だけが勝つ」のだから。

cf.パルミサーノ・レポート(Innovate America

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